解体材とは?

我が国の伝統工法である在来工法で造られた、木材住宅を
解体した際に発生する材料を解体材と言います。

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一定の環境の下で(家を支える材料として)長い年月をかけて自然乾燥されることで、木材がもつ癖がほとんど抜けています。

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家を長年支えた材料は貴重な経験者です。(応力の配分を知っているので、すべてに信頼できます。)

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その家を支え守り続けてきた材料を、次世代に形を変えて使用することで、歴史を守り時代を継承することができるのです。

再利用までの流れ

解体現場から運ばれた材料は、材種もいろいろでほとんどが主要構造材(大断面の柱、梁等)で全て歴史が刻まれた歴戦の勇士たちです。
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まず、仕分けをする。
(柱、梁等)

仕分けをする様子 丸太 仕分けをする様子
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付着する、補助部材、金物、釘(見える範囲で)をはずす。この時点で彼らは 見違うほどにすっきりして、当時の姿に戻り、焼却処分から逃れ命を再び与えられたことに気づくのです。

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高圧洗浄機で経年による汚れ、解体の際に付着した泥、小石、を入念に洗う 隠れて見えなかった釘が見えてくる。ここからが根気のいる且つ一番大事な 仕事です、金属探知機で舐めまわし釘頭がなく埋まってしまっている釘を のみを使って掘り起こしペンチで抜くのです。これで安心して鋸の歯を入れる事が できます。ほっとした彼らの表情は穏やかで光っているように見えます。

  • 釘を抜く
  • 釘を抜く
  • 洗う
  • 金属探知機で確認
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材をよく見ながら(面接)使用部材を決め、製材する。 なるべく裏方の力持ちだった彼らを今度はごくろうさんの意味もこめ内法材(表舞台)に使うと、これまたすばらしい材料に変身し期待に答えてくれるのです。

製材する
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完成!
今度は表舞台に

完成

解体材との出会い

家は歴史を繋ぐもの、老夫婦が流した涙の想いとは

平成10年12月 建築とまちづくり(特集リサイクルする建築)寄稿

あれはもう17年、8年前になるでしょうか。

あの事は、今でも鮮烈な印象として、脳裏に焼きついています。建設会社を経営していた頃のことです。三世帯住宅 を建て替えるために既存の40坪ほどの平屋建ての木造住宅を解体するときの事でした。 その家はかなり古い家で、 内部の造作や外壁、瓦等の外観から少なくみても築後7、80年は経った家でした。

若夫婦が期待に胸躍らせる一方、老婦の表情がなぜか沈んでいます。家族と共に椅子に腰掛けて見守る中でいよいよ 解体工事が始まりました。重機がうなりをあげて、まるで腹をすかせたハイエナがえものに群がるように、その家に食いついていくのです。 じっと見つめそして必死に耐えてきたであろう老婦の顔に涙が一気に溢れ出しました。自然と寄り添いその小刻みに震える肩に手を廻した老父の目にも溢れ落ちそうに涙がたまっていました。

人間である以上、誰でも大事にしているものは一つや二つは必ずあるものです。例えば、それをガラスのコップとします。 誤って落として割った時に、誰もが悲しい思いをするはずです。 語弊もあると思いますが、しかしそれは同一のコップがあれば買い求める事で済むでしょう。しかしこの情景を現場で目の当たりに見ていた私には、それとは全く違う別のものが他にあるように思えたのです。 その形がなくなるのは、前例と同様ですが、民家は人間の暮らしを長い期間支え守り続けてきた、いわば大きな器です。

個々の人間の営みがそれぞれの形で受け継がれてきたのです。

多分そこで出生等の祝いもあっただろうし、冠婚葬祭も執り行われたはずです。 つまりその家を支え守ってきた柱、梁等の木材は、(無論木材ばかりではありませんが)その家の歴史を見守りそれを刻み込んできたのではないでしょうか。 老夫婦が流した涙は、形の消滅のほかに脈々と流れてきたその歴史の消滅と終止符に起因するものであり、それは「すまない」と言う謝罪の涙であり、「今迄ありがとう」という感謝の涙だったのではないでしょうか。以来、ただ「もったいない」という気持ちが、 重機から割り箸みたいに折られ千切られ、悲鳴にも似たあの音を聞くたびに、罪悪感にも似た思いに変わっていきました。

この事が結果的にこの仕事に足を踏み込ませた所似です。

世の中、全てに便利になりました(結果ツケが回ってきました)。家の解体も今は、前述したように重機によりあっという間に解体され、と言うよりは潰され、一週間程度で跡形もなくなってしまいます 。当然の事ながら、彼ら(解体材)は屑、ゴミと化してしまう、屑であるから誰も焼却処分されて灰になってしまう事に特別な感情も懐かないし、当然疑問に思うこともないのです。 以前は違っていました。まず解体ではなく、「家を解く」といっていました。

つまり次に使用することを視野に入れての解体であり、当然手作業になるからです。 最近も明治時代の民家を手作業で解体しましたが、様々な場所に解体材が使われていました。手作業である故に、手間と時間と費用も嵩みますが、ただ灰にしてしまう事よりはるかに意義があり、重要な事だと思う毎日です。 もちろん彼らには、次の活躍の場を与えなければなりません。京都古材バンクの会の方法もすばらしいアイディアだと思います。私は建て替えの際に手ばらしでより多くの材を確保し、それを可能な限り使用することを提唱しています。その歴史を継続させるためにも!

確かに彼らに再び命を吹き込むことは、少々手間がかかります。
まず解体の際に付着した泥砂、小石等を高圧洗浄機で洗い流し、釘を抜きます。 この作業なくしては前には進めません。そのほとんどが腐食して肉眼では見えないため、金属探知機に頼る他はないし、後は ノミで掘りペンチで引き抜く以外方法はありません。
おまけに歩留まりも悪いからです。
「ここまで手間をかけて、採算にあうのか」と心配してもらいますが、彼らだけがもつ特徴をご紹介すれば少しでも納得いただけると思います。

木材はその持つ性能により、建築はもとより家具その他に数多く使われているのは改めて述べる必要はありませんが、 使用に当たっての最も重要な必須条件が乾燥である事はあまり知られていません。

木材に水分がどれくらい残っているかを示す指標に、含水率という言葉があります。 乾燥材と呼ばれる材の含水率は12%くらいと言われています。わが国の平均湿度が12%前後であることからです。

長野県の工業試験場が築後26年の住宅の構造材の含水率を調べたところ、小屋裏材においては含水率が12%という結果がでています。つまり完全乾燥材なのです。

天然感想材と人工乾燥材については長短分かれるところですが、人工乾燥が短期間(通常杉柱材で一ヶ月程度)で含水率が下がるのに対して、彼らは一定の環境の中で長い月日を経て徐々に12%の含水率に到達するところに大きな違いがあります。 それはまるでウイスキーが樽の中で熟成されるのと同じように、この期間により木材が乾燥過程で出る反り、曲がり、割れ 等の癖が全て出尽くし、硬く強く軽く、虫害、不朽菌、変色等の予防など本来木材に求められる大方の条件を満たしてしま うのです。

更に建築材料としてグリーン材(伐採直後製材された木材)や、人工乾燥材は、生まれて初めて剪断、曲げ、引っ張り等の宿命 とも言える力を経験するのに対して、彼らはすでに十分経験しているのです。

荷重に対してどういうふうに受けて、支え、逃がすかの要領を心得ているのです。

少々の手間と時間をかけてでも、また歩留まりが悪くても彼らに再び命を吹き込む意味が、少しでもご理解いただけたら幸いです。

私は、今、建替えによる住宅を施工中ですが、築後100年くらいの住宅を手作業で解き、歴戦の勇士を余すことなく使用しています 。部所によっては、釘穴やホゾ穴が見えますが、彼らが他の仲間(人工乾燥材)よりは、一際光って見えるのは、私の彼らに対す る思い込みのせいばかりでしょうか。

解体材の基礎知識

解体材のいいところはどんなところですか?
解体材は20年以上自然乾燥され、含水率(木の持つ水分)が低く建築部材、木製品の材料として最適と言え、以下の理由があげられます。

1) 木材及び木製品の含水率変化に伴う寸法の変化、変形が少ない。

2) 害虫、腐朽菌、等を寄せ付けない。

3) 加工や処理(塗装、研磨等)の向上

4) 重量軽減(水分が抜けて軽くなる)により取り扱い(持ったり、運んだり)の向上

5) 再利用することにより、自然環境の保護につながる。

解体材は標準的な家一軒分で、どれくらいの量が再利用できるのでしょうか?
解体される家の状態にもよりますが、歩留(使用率)がよくて30%~40%ぐらいです。 しかもほとんどの家が解体することを前提として造られていないため歩留が低いのも 仕方ありません。
解体材はどのような形で使うのに向いているのでしょうか?
もちろん、歪みや反りが出てしまっていて寸法の狂いが出ないので 建築部材としての利用は大変適しています。その他、机や椅子などの家具にも適しています。

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