解体材を利用して建てた住宅のお客様のお声をまとめさせてもらいました。
こだわりや思いを現実にしていく中で、沢山の温かいお言葉を胸に日々頑張っております。
もう早くも18年前のことです。「夢屋」の宮本さんが心動かされたという熊日朝刊の記事を切り抜いて持って来たのは。既に宮本さんは会って来ていて、ぜひ私に紹介したいと言うのです。そこで二人で波佐間さんの工房を訪ねました。
その頃、まだ家具作りの方に精を出されていた波佐間さんに「阿蘇に障がいがある方が気楽に泊まれる家を作りたいのですが……」と切り出すと「まだ解体材で家を建てたことはなくて……」と戸惑いながらも結局、「やってみましょう」と言われ、『野菜ty』が波佐間さんが手がけられた解体材の栄えある「第一号」となったのでした。
あれから築17年、柱や梁は一段と深みと趣を増し、重厚さを醸し出してきています。
いつもお仕事について熱っぽく語られる波佐間さんの言葉の中で思い出すのは「解体材と障がいをもっている人は似ていると思うんですよね。どちらもこの社会の中で日陰の存在ですが、実はとても価値のある銘木なんですよね。僕はこの仕事に誇りを持っています」というものです。
波佐間さん、本当にありがとうございました。
私の家は古く大正3年に建った家を持つ代々継ぐ農家であります。
家は百数十坪もある昔の大きな家で年に一回も入らない部屋がたくさんあり、使い勝手が悪く雨漏れがひどく維持して行くのが大変になっておりました。
結婚した時、家内との約束で、私が40才になるまでに"新築しよう"と2人で頑張って農業をやって来ました。
私がその時に考えていたことは、今流行りの家は建てた時が一番きれいで良く、毎年少しづつ古くなり20年も過ぎれば所々いたんで来る圧縮合板による建築が多くそれに疑問を感じていました。
家は私の農業にたとえれば、土作りなのです大地にどっしり足を付けて沢山の腐植有機物を肥し、時間をかけて微生物を増殖させ健康でおいしい野菜作りをする土台の様な気がします。こて先の化学肥料ではおいしい健康な野菜は作れません。
私の新築のテーマは健康で笑いのたえない暖かな居みごこちのいい味のある家、毎年レベルが昇って行く家なのです。
ユーティーユー工房様の考え方は、"長年居んだ家の素材を生かし、大切に再利用する"長年居んだ者としてはありがたい、心を継ぐ考え方だと思います。
さっそくユーティーユー工房様にお願いして解体が初まりました。
思い出が一杯つまった家の解体は涙が出るくらいさびしい思いでした。
解体した材料はどうなるんだろうと思いましたら、そのまま西原村のユーティーユー工房に運ばれ、一つ一つ丁寧に水流しして、クギも一つ一つ丁寧に取られて、まるで我が子の様に扱っておられる姿を見て、感謝の気持ちで一杯になりました。
その後、一ヶ月かけて解体が終わりました。どの様に前の素材が生かされていくのか楽しみになって来ました。
出来上がりは、私の想像をはるかに超えたものでした。
思い出の品物は、柱に使えるものは柱に、使えない物は板に、板に使えない物は窓枠に。座敷の欄間は天井の照明にと、色々活用していただき、見事に再生できました。
今家を建てて16年目になります。当初思っていた通り、味のある居みごこちがいい家です。家内も一週間に一回は必ず掃除して大切にしています。
物言わない家ではありますが、色々と教えてくれます。
昨今、子育てを初めとして教育、学校、社会での事件、事故と信じれないことがたくさんあります。
基本は家庭だと思います。
子供たちや老いた両親を暖かく迎え、励まして、又明日も頑張ろうと勇気を与えてくれる我が家です。
せっかく一生に一度、大金を使って建てる家なら、色々な面で積み上げて行く考え方が私は必要だと思います。
それに応えてくれたユーティーユー工房様に感謝です。
波佐間様に出会えて良かったと心から思っております。
「あっ!木のにおいがしますね。」
建設からすでに8年が経過しているが、玄関から家の中へ一歩足を踏み入れた人の多くが思わず口にする言葉である。
さらにリビングに入ると「素敵ですね、ホッとして気持ちが落ち着きます。」、「もっと長居をしたいです。」、「古民家の店に来たみたいです。」という言葉もよく聞く。
私自身も外出をしていても、早く家に帰りたいな、家でゆっくりくつろぎたいという思いがいつもある。
特にリビングは約20畳程だが、床から天井まで約6m程の吹きぬけであり、睡眠時間以外のほとんどの時間をこの空間ですごしている。
終戦数年後に建てられて、60数年経過していた建物を解体して取り出された木材を、ほとんど全て再利用されており、構造材(柱や梁)として表に見える形で多く使われている。
1m高の腰壁も解体材の杉を使用されており、柱や梁同様、新しい建材には決してない独特の枯れた重厚感をかもしだしている。
引き戸や窓もサッシではなく、桧やセンダンの木製建具となっていることも心をなごませるものとなっている。
階段も解体材の桧であるが、ところどころホゾ跡やクギ跡があるのも風情がある。
趣味で作った囲炉裏テーブル(もらったセンダンで作った)が食事や団欒に活躍しているが、この建物にマッチした存在になっている。
リビングコーナーに薪ストーブがあり、冬の楽しみも又格別だ。暖房のみならず、調理(おでん、カレー、シチュー、ピザ、焼き芋)にも活躍してくれる。
古くからの日本建築の良さを活かし、化学物質や機会に頼らず自然素材を中心に、という私たちの希望に、波佐間さんのコンセプトはぴったりでした。無垢の木と漆喰・珪藻土に囲まれ、快適で落ち着ける家です。
和とも洋ともつかない絶妙なデザインは、さすが波佐間さん。うちを訪れる人は皆一様に「おしゃれ」「カフェみたい」と言ってくれます。そして、決まって長居していきます。居心地がよく、つい寛いでしまうそうです。
解体材で作られた柱、梁、手すり、机の天板、はたまた鏡の縁・・・それぞれが個性と存在感をちゃんと出していて、余分なインテリアは要らないな、と思います。時々、ホゾ穴を触ったりボーッと眺めたりしては、「この解体材の前の持ち主は・・・」などと思いをはせてみるのも、また楽しいものです。
末永く、大切にしていきたい家です。